紙幣コレクターの間で取引される新紙幣AA券の買取相場を調査すると、記番号のわずかな違いが価格に驚くべき格差を生み出している実態が浮き彫りになります。新札前だけAAの違いを理解せずにオークション等へ安易に期待をかけると、大きな失望を味わうことになりかねません。
真の初期ロットである「前後AA券(記番号がAAで始まりAAで終わる紙幣)」は、製造ラインの最前列で刷られた極めて希少な個体です。特に「AA000001AA」から始まる最初期グループは、日本銀行から貨幣博物館や国立印刷局などに寄贈・保管されるため、一般流通に出回るものはその直後の番号に限られます。そのため、新札前後AAのレア度はコレクター垂涎の的となり、状態が完全未使用であれば通常番号であっても額面の1.5倍から3倍程度の評価がつくケースが見られます。
対して、「前だけAA(例:AA123456ABやAA987654ZZ)」と呼ばれる紙幣はどうでしょうか。大手古銭買取店や金券ショップの鑑定士への聞き取り調査によると、「前だけAAで中央の数字がランダムなものは、どれだけ状態が良くても買取価格は額面通り(等価)」というのが業界の一致した回答です。
「前だけAA」の紙幣は、末尾の組み合わせ(AA〜ZZ)だけでも数百通り存在し、それぞれに数十万枚規模の数字が割り当てられているため、総発行枚数は数億枚単位に達します。日常的に銀行のATMや両替窓口で遭遇する確率も高く、希少価値が発生する余地がありません。「頭がAAだから高いはずだ」という期待は、旧紙幣時代のルール(先頭AAが希少だった時代)と新紙幣の10桁ルールが混同された典型的な誤解と言えます。