ネバーヤングビーチのフロントマンである安部勇磨と、日本を代表する俳優である高橋一生。一見するとまったく異なるフィールドで頂点を極めた2人が実の兄弟であるという事実は、2017年に高橋一生がトーク番組『A-Studio』に出演した際に公表され、世間に大きな衝撃を与えました。2人は父親が異なる異父兄弟であり、長男が高橋一生、三男が安部勇磨という関係性にあります。
2人の年齢差は9歳。兄弟の生い立ちは決して平坦なものではありませんでした。公のインタビューや手記で明かされている通り、母親は波乱に富んだ人生を歩んだ人物であり、父親が異なる5人兄弟の長男として生まれた高橋一生は、幼少期から弟たちのおむつを替え、食事の世話をするなど、実質的な「父親代わり」として家庭を支えていました。
母親との間には長期にわたる確執やすれ違いが存在し、一時期は完全に絶縁状態にあったことも語られています。しかし、母親の闘病と死を前にして、兄弟たちは複雑な感情を抱えながらも向き合い、家族としての区切りをつけました。この壮絶とも言える家庭環境は、両者の表現活動に決定的な影響を与えています。
高橋一生が演じる役柄の端々に見せる哀愁や人間の多面性、そして安部勇磨が紡ぎ出す「日常のささやかな幸せへの賛歌」や「孤独にそっと寄り添う言葉」は、いずれも過酷な現実を生き抜いたからこそ獲得できたリアリティです。現在、2人はお互いの出演作やワンマンライブに足を運び合い、表現者として深い敬意を払い合う良好な関係を築いています。血縁という宿命に縛られることなく、それぞれが自立した個としてリスペクトし合う姿は、現代の家族関係における一つの成熟した形を示しています。