ネット上の情報やSNSの言及を精査すると、本楽曲に関してはいくつか事実と異なる思い込みや盲点が存在します。ファンの間でも混同されがちなポイントを整理します。
第1の誤解は、「映画『思い、思われ、ふり、ふられ』のために書き下ろされた楽曲である」という認識です。前述の通り、本曲は2018年のアルバム『エスカパレード』の収録曲であり、映画公開の2年以上前にリリースされていました。実写映画の監督やプロデューサー陣が「この映画の登場人物たちが織りなす青春のきらめきと未来への希望を表現できるのはこの曲しかない」と熱望し、既存曲でありながら主題歌に抜擢されたという経緯があります。
第2の誤解は、「115万キロとは、遠距離恋愛の二人の移動距離を足したもの」という初期のネット掲示板などで散見された解釈です。一見それらしく聞こえるロマンチックな解釈ですが、作詞者本人の発信や歌詞中に散りばめられた「フィルム」「クランクアップ」「エンドロール」「映画」といった徹底したシネマ用語を見落とした誤読と言えます。藤原聡は映画フィルムの物理規格から着想を得ており、生涯の時間を距離へ変換するという明確なコンセプトを持っています。
さらに、2026年現在のOfficial髭男dismのライブツアーにおけるセットリスト事情にも注目すべき変化があります。大ヒット曲が多数増えた近年のアリーナやスタジアム公演においても、「115万キロのフィルム」は特別な位置を占めています。初期からバンドを支えてきたファンへの感謝を伝える場面や、アコースティックアレンジを交えた親密なセクションで披露されることが多く、派手な特効演出を施さずとも会場全体を温かな多幸感で包み込むキラーチューンとして重宝されています。