「自分も足が遅かったから、遺伝のせいかもしれない」と諦めてしまう保護者は少なくありません。しかし、筑波大学などのバイオメカニクス研究やジュニア陸上指導の現場において、小学生段階で足が伸び悩む最大の要因は「遺伝的素質」ではなく「物理的にブレーキをかける走り方」にあると結論付けられています。
現場取材で見えてきた、足が遅い小学生に共通する3大エラー動作は以下の通りです。
第一に「かかと着地(ベタ足)による制動」です。脚を前方へ大きく振り出そうとするあまり、骨盤の真下よりもはるか前方に足を着いてしまうと、接地した瞬間に進行方向とは逆向きの強いブレーキ抵抗が発生します。速いスプリンターは、足裏の前部(母指球付近)で身体の重心直下に素早く接地し、地面からの反発力(地面反力)を推進力へと変換しています。
第二に「上体の後傾とアゴの浮き」です。必死に走ろうと力むあまり、首が後ろに倒れて目線が空を向いてしまう子どもが非常に多く見られます。頭部は体重の約10%を占める重い部位であるため、アゴが上がると頭が後方へ引っ張られ、骨盤が後傾して脚が前へ出なくなってしまいます。
第三に「腕振りの横ブレ」です。腕を前後に振るのではなく、胸の前でクロスするように横振りしてしまうと、体幹に激しい回旋ブレが生じます。この無駄な捻れを相殺するために足の進路まで左右に散ってしまい、50メートルを直線ではなくジグザグに進むことになって大幅なタイムロスを招くのです。