「スタジアムに行くのにトレッキングシューズが必要だと言われた」――ネット上でまことしやかに囁かれるこのジョークは、あながち完全な誇張とも言い切れません。野津田競技場 アクセス 行き方を調べた観戦者が直面する最初の壁が、通称「野津田登山」と呼ばれる物理的な高低差です。
スタジアムが位置する町田市立野津田公園は、多摩丘陵の原生林や谷戸(やと)の地形を色濃く残す約42ヘクタールの広大な総合公園です。スタジアム本体は丘陵の尾根付近、標高約100メートル地点に造成されています。小田急線沿線の低地にある路線バス停留所(野津田車庫など)から公園中央のスタジアムを目指す場合、最大斜度10度を超える急坂や数十段の連続階段を踏破しなければなりません。これが「野津田登山 理由」として語り継がれる物理的要因です。
そもそも、なぜこれほどアクセスが険しい丘陵地に大規模陸上競技場が建設されたのか。歴史を遡ると、1980年代後半の町田市の都市計画に行き当たります。当時、急速なベッドタウン化に伴い市街地での大規模スポーツ用地の確保が困難を極めるなか、多摩丘陵の豊かな自然環境を市民レクリエーション拠点として保全・活用する方針が策定されました。その中核施設として1990年10月に開場したのが町田市立陸上競技場でした。都市の喧騒から隔離された自然共生型の立地は、静寂と開放感をもたらす一方で、数万人の観客が一度に押し寄せるプロサッカー興行のインフラとしては、構造的なボトルネックを抱える宿命を背負うことになったのです。