日本の数の単位は、万(10^4)、億(10^8)、兆(10^12)、京(10^16)というように「4桁(1万倍)ごと」に位が上がっていく万進法を採用しています。京を超えると、垓(がい)、𥝱(じょ/し)、穣(じょう)、溝(こう)、澗(かん)、正(せい)、載(さい)、極(ごく)と続き、その先には仏教の経典に由来する神秘的な単位が並びます。
大数領域の全体像を把握するために、主要な単位と指数の関係を整理した比較データを下表にまとめました。
現在の単位表を見ると整然とした4桁刻みになっていますが、歴史をたどると大きなねじれが存在します。その中心にあるのが、江戸時代前期の寛永4年(1627年)に吉田光由が著した伝説的ベストセラー数学書『塵劫記(じんこうき)』です。
当時の文献記録を調査すると、寛永4年の初版『塵劫記』では、なんと「無量」と「大数」は独立した別々の単位として掲載されていました。「載」「極」「恒河沙」「阿僧祇」「那由他」「不可思議」に続き、その上に「無量」、さらにその上に「大数」が置かれていたのです。
ところが、寛永8年(1631年)の改訂版以降、どういうわけかこの2つが合体し「無量大数」という1つの単位として扱われるようになりました。中国の古典数学書『算法統宗』などの解釈を巡る当時の和算家たちの混乱が反映された結果であり、私たちが何気なく暗記している数の単位は、先人たちの試行錯誤の末に固まった経緯があります。