人間の脳は、生存のために「変化」を敏感に察知するように設計されています。逆に言えば、変化のない「静的な美しさ」にはすぐに慣れてしまう性質があります。脳科学の分野では、これを「ヘドニック・トレッドミル(快楽の順応)」と呼びます。
初めてその美しい顔を見た瞬間、脳内ではドーパミンが大量に分泌され、強い快感や興奮を覚えます。しかし、2日目、3日目と顔を合わせるうちに、その視覚情報は「既知の安全な情報」として処理され、ドーパミンの放出量は急激に減少します。どれほど完璧な造形であっても、ただそこに存在するだけでは、脳にとって「背景」と同化してしまうのです。視覚的な美しさが持つ消費期限は、私たちが想像するよりもはるかに短いのが現実です。