かつての悲劇の舞台は、入念な発掘調査と環境整備によって、戦国大名の生活空間を物語る貴重な史跡へと生まれ変わっています。御主殿跡からは、ベネチア産とみられるレースガラスの破片や輸入陶磁器、優美な庭園跡が出土しており、北条氏照がいかに高い文化的教養と外交力を持っていたかが証明されました。
現在の御主殿の滝は、復元された曳橋(ひきはし)を渡った先の静謐な自然の中にたたずんでいます。落差数メートルほどの小さな滝ですが、澄んだ清水が苔むした岩肌を滑り落ち、初夏の新緑や秋の紅葉に映える風光明媚な景観を見せてくれます。
現地には歴史の犠牲者を悼む慰霊碑が建立されており、かつての戦乱を静かに記憶しながらも、訪れる人々に歴史の儚さと平和の尊さを伝える厳かな空間となっています。