式典の合間、代表取締役社長の服部雅人氏は、穏やかながらも芯のある眼差しで壇上から若者たちを見守っていた。デジタル化やオートメーション化が加速する現代において、なぜ手作業の靴磨きにこだわり続けるのか。
「手を使ってモノと対話する感覚は、どれほど技術が進歩しても代えがたい財産です」。服部氏は言葉を選びながらそう口にした。製品の品質を保証するのは、データではなく使う人間の手のひらから伝わる質感の記憶だという。創業から続くクラフトマンシップを次世代へ継承しつつ、新しい感性でブランドを再定義してほしいというトップの切実な願いが、新入社員一人ひとりの背中に向けられていた。