『アンノウン・マザーグース』が世に放たれたきっかけは、2017年に迎えた初音ミクの生誕10周年を祝う記念コンピレーションアルバム『HATSUNE MIKU 10th Anniversary H速度 / Re:Start』への楽曲提供でした。
当時、wowaka氏は自身が率いるロックバンド「ヒトリエ」の活動に全力を注いでおり、ボーカロイドシーンからは一定の距離を置いていました。『裏表ラバーズ』『ローリンガール』『ワールズエンド・ダンスホール』などで2000年代末から2010年代初頭のボカロシーンを牽引した彼にとって、再び初音ミクと向き合うことは、自らの原点と対峙することを意味していました。
後に語られた制作秘話によると、依頼を受けた当初はプレッシャーや迷いもあったものの、「初音ミクがいたからこそ今の自分がいる」という揺るぎない感謝と誠実な覚悟が制作の原動力になったとされています。妥協を一切排し、持てるすべての熱量を注ぎ込んで完成したこの曲は、ネット音楽史におけるひとつの到達点となりました。