製菓やベーカリーの現場を取材すると、一般読者が混同しやすい「3つの盲点」が浮かび上がってきます。
1. 「アメリカンマフィン」と「イングリッシュマフィン」の根本的な違い
日本で「マフィン」と呼ぶ場合、多くはアメリカ発祥の焼き菓子(アメリカンマフィン)を指します。しかし、朝食の定番であるイングリッシュマフィンは全くの別物です。イングリッシュマフィンはイギリス発祥のイースト発酵パンであり、表面にコーングリッツをまぶして平たい円形に焼き上げます。中央から手やフォークでふたつに割り、トーストしてバターやエッグベネディクトの土台として食べる本格的な食事パンです。
2. スコーンとマフィンの構造的差異
同じくイギリスのティールーム発祥であるスコーンとも混同されがちですが、配合と油脂の扱いが異なります。スコーンは冷たい角切りバターを粉の中で細かく刻み込む(サブラージュ)ことで、焼成時に水分が蒸発して生地が上下に割れる「オオカミの口(腹割れ)」を作ります。水分量が少なくサクサク・ホロホロとした食感になるスコーンに対し、マフィンは液状の油脂と多めの水分を合わせるため、しっとりとした重量感が出ます。
3. 「マフィンはバター不使用だから低カロリー」という誤認
健康志向の高まりから「サラダ油や米油で作るマフィンはヘルシー」と思われがちですが、これは危険な誤解です。植物油は常温で液体の純度100%の油脂であるため、水分を含むバター(油脂分約80%)よりも大さじ1杯あたりのカロリーが高くなります。さらにマフィンは1個あたりの重量が100〜130gと大きいため、トータルで見るとカップケーキを上回る400kcal前後に達することも珍しくありません。