出欠はがきを受け取った際、最初に向き合うのが裏面の「御出席」「御欠席」「御住所」「御芳名」といった敬称の処理です。これらの「御」や「芳」は、送り主が受け取り手であるあなたを敬って付けた言葉であるため、返信する際は「自分に対する敬称を取り除いてへりくだる」のが日本の伝統的なマナーの鉄則です。
基本となる消し方は、文字の上に重ねる「二重線」です。縦書きの場合は縦に2本、横書きの場合は横に2本の線を引きます。この際、フリーハンドで雑に引くと乱雑な印象を与えるため、薄いプラスチック定規を当ててまっすぐ丁寧に引くのが大人のたしなみです。文字が1文字の場合は斜めの二重線で消す手法も一般的ですが、縦書きなら縦の二重線で統一するのが最も整然として見えます。
結婚式をはじめとするおめでたい慶事で使われる上級テクニックが「寿消し(ことぶきけし)」です。これは「御」の字の上に、二重線の代わりに朱色や黒のインクで「寿」の文字を重ねて上書きし、敬称を打ち消すとともに祝福の意を表す作法です。ただし、弔事や同窓会で使うのは不適切であり、あくまで結婚披露宴などの慶事に限られます。また、画数が多く文字が潰れやすいため、毛筆や細身のペン先で美しく書ける自信がない場合は、定規を用いた端正な二重線を選択する方が清潔感を保てます。
あわせて忘れがちなのが、表面(宛名面)の訂正です。主催者側の名前の下にある「〇〇 行」や「〇〇 宛」は、必ず二重線で消し、その左側(横書きなら下側)に「様」を書き加えます。連名宛ての場合は、それぞれの名前の横に「様」を1文字ずつ添えるのが正式です。