復路の鶴見中継所といえば、アンカーが待つ目前で無情にもピストルが鳴り響く「繰り上げスタート」のシーンが脳裏に焼き付いている方も多いはずです。そもそも鶴見中継所で繰り上げスタートが起きる理由は、選手たちの安全確保と首都圏の大動脈である国道15号の交通規制解除時間を厳密に守る点にあります。
日本学生陸上競技連合が定める繰り上げスタートの制限時間ルールでは、復路の第4中継所(鶴見中継所)において、「先頭チームが通過してから20分」を超えた大学は、前走者が中継所に到着していなくても強制的に一斉スタートさせられます。往路の第1中継所(鶴見)では先頭通過から10分という規定があるものの、1区の距離(21.3km)で10分差がつくことは極めて稀です。これに対し、復路は6区から9区までの累積タイム差がダイレクトに反映されるため、最終中継所である鶴見に極限のタイム差が凝縮されます。
審判員が無情にも黄色い旗を掲げ、秒刻みのカウントダウンを告げる瞬間、中継所に飛び込んできた走者が数十メートル先でスタートしていく無地の「白タスキ」の背中を見て崩れ落ちる光景は、箱根駅伝の過酷さを象徴しています。