歌舞伎界のみならず日本文化界に計り知れない損失をもたらした18代目中村勘三郎丈の訃報。その闘病の経緯と医学的な原因は、当時多くの医療関係者の間でも議論を呼びました。
勘三郎丈に初期の食道がんが見つかったのは、2012年6月のことでした。定期的な健康診断による早期発見であり、同年7月に都内の専門病院で約12時間に及ぶ大手術を実施。執刀医チームによる病巣の切除手術そのものは無事に成功を収めていました。
しかし、術後の経過中に誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を併発し、肺機能が急激に悪化します。肺の広範囲に重篤な炎症が広がる「急性呼吸窮迫症候群(ARDS)」を発症し、集中治療室(ICU)で人工心肺装置(ECMO)を用いた懸命な救命処置が続けられましたが、同年12月5日未明、急性呼吸窮迫症候群のため帰らぬ人となりました。