ペールギュント「朝」は北欧ではなく砂漠?名曲の真実を徹底解説

ペールギュント「朝」は北欧ではなく砂漠?名曲の真実を徹底解説

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『ペール・ギュント』の「朝(原題:Morgenstemning / 朝の気分)」を聴いた瞬間に広がる爽快感は、クラシック音楽の中でも随一の完成度を誇ります。しかし、文学的・演劇的な文脈における「ペールギュント 朝 意味」を追跡すると、極めて意外な情景が浮かび上がります。

戯曲『ペール・ギュント』において、この楽曲は第4幕の前奏曲として演奏されます。第4幕のト書きには「アフリカの南西海岸、モロッコの砂漠。ヤシの木がまばらに生える林のなか」と明記されています。主人公のペール・ギュントは、故郷ノルウェーを追われた後、アメリカで奴隷貿易や武器密輸などの非道な商売で巨万の富を築き、中年となって北アフリカの砂漠へ流れ着いていました。

つまり、音楽が描き出しているのは「清らかな北欧の森の目覚め」ではなく、「灼熱の太陽がサハラ砂漠の地平線を照らし始める瞬間」です。物語上のペールは、ヤシの木に登って野猿の襲撃から逃れながら、金持ち気取りで砂漠の朝日を眺めているという滑稽かつ哀愁漂うシチュエーションの中にいます。爽やかな旋律と主人公の俗物的な境遇との凄まじいギャップこそ、イプセンとグリーグが仕掛けた芸術的な仕掛けなのです。

中島 亮太
著者

中島 亮太

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。