野崎守というキャラクターがここまで愛されたのは、言わずもがな阿部寛という俳優の圧倒的な存在感と演技力に負うところが大きい。190センチを超える長身から繰り出される立ち振る舞いは、海外のロケ地や外国人キャストの中でも決して見劣りせず、むしろ画面全体を支配するほどのオーラを放っていた。
しかし、単にスタイルが良いだけではない。視線の微妙な動き、沈黙の間、セリフの抑揚に至るまで、極めて緻密に計算された演技が光る。乃木の正体を探る際の見開いた眼光や、真実に勘づいた瞬間のわずかな表情の変化。言葉以上に雄弁な肉体言語が、野崎という男の凄みを立体的に描き出していた。