作品タイトルの『ホンノウスイッチ』という刺激的な響きから、ネット上では「ただの本能に流されたセフレ関係の漫画なのではないか」という誤解が一部で見られます。しかし、これは物語の構造を捉え違えた浅い見方です。
本作の核心は、本能に流されたことそのものではなく、「本能というきっかけを借りなければ、壊すことができなかった幼馴染という強固な壁」にあります。
長年、隣で小依を見守り続けてきた聖は、もし想いを告白して振られてしまえば、幼馴染としての居場所すら失ってしまうという恐怖を抱えていました。小依にとっても聖は「家族同然の絶対的な安全基地」であり、異性として意識することは関係の破滅を意味していたのです。
失恋という感情の揺らぎとアルコールが引き金となって外れたリミッターは、聖にとっては「10年越しの覚悟を決める号砲」であり、決して軽薄な過ちではありませんでした。この構造を理解して読むことで、聖の細かな視線や息遣い、セリフの裏に隠された切実な祈りが胸に迫ります。