アニメーション批評および心理学的な観点からゲンスルーというキャラクターを再考すると、彼がいかに複雑でリアルな人間性を備えたヴィランであったかが見えてきます。
ゲンスルー率いるボマー3人組の最大の特徴は、「冷酷非道な大量殺人鬼でありながら、仲間同士の間には確かな絆が存在した」という点です。最終決戦でサブとバラが重傷を負った際、ゲンスルーは自らの命を惜しむことなく、手に入れたカード「大天使の息吹」で仲間を治療することを最優先に懇願しました。単なる記号的な悪人ではなく、「自分たちの身内以外はどうなっても構わない」という極端な身内びいき・反社会的な共依存関係が描かれています。
この二面性を成立させるためには、演技に「嘘臭さ」があっては成立しません。小山剛志さんは「成熟した大人が選んだ冷酷なビジネスライクの狂気」として、吉野裕行さんは「鋭利な知性と仲間への妙な執着が同居したアンバランスな狂気」として見事に落とし込みました。
視聴ルートの判断基準:どちらから観るべきか?
これからハンターハンターのアニメを鑑賞する方に向けて、プロの視点からおすすめの楽しみ方を提案します。
- 新アニメ版(マッドハウス版)が向いている人:作品全体の統一感とテンポの良さを重視し、キメラアント編や選挙編まで一気通貫で視聴したい人。吉野裕行さんのキレのある演技とスピード感あふれるバトルを楽しみたい人。
- 旧作OVA版が向いている人:セル画の質感が残るダークで重厚なアニメーションや、原作初期のサスペンスフルな空気感を味わいたい人。小山剛志さんの凄みある低音ボイスを堪能したい人。