尾張町や主計町(かずえまち)周辺を歩くと、築100年を超える伝統的な「金沢町家」の暖簾をくぐった先で、最新の焙煎機が静かな重低音を響かせてお出迎えしてくれる。かつて格子戸の奥で商いが営まれていた歴史的空間が、いまや世界基準のスペシャルティコーヒーを抽出するラボへと変貌を遂げた。
単なる「レトロな映えスポット」ではない。土壁や太い梁が醸し出す湿度調整効果や独特の間取りは、実はコーヒーの香りをゆったりと包み込む絶妙な音響・音響空間でもあるのだ。天窓から差し込む柔らかな北陸の光を浴びながら、一杯の浅煎りエチオピアを嗜む。その静寂な時間は、都市の喧騒に疲れた現代人の心に染み渡るような贅沢を提供している。