ネット上では時折、「エレンは単なる狂気の大量殺人鬼」「思想的に破綻したサイコパス」という単純化されたレッテルが貼られることがあります。しかし、作中の構造を丹念に追えば、この見解がいかに作品の核心を見落としているかが明白になります。
最大の盲点は、エレンが「誰よりも自己の罪の重さに潰されかけていた」という事実です。マーレ潜入時、将来自分が踏み潰すことになる難民の少年ラムジに対し、エレンは涙を流しながら「すまない、すまない……島を……エルディアを救うためだけじゃない……壁の外に人類がいると知ってオレは失望したんだ」と膝を折って謝罪しています。
彼は大義名分(祖国防衛)の裏に、自らが幼少期にアルミンの本を見て思い描いた「誰もいない手つかずの広大な外の世界」への執着というエゴイスティックな衝動があったことを自覚していました。自己を欺瞞で飾ることなく、自らの醜悪な本質を直視していたからこそ、彼は自らに死刑判決を下すように、仲間たちの手による断罪を甘受したのです。