今や都心有数の人気イベントとなった中目黒夏まつりですが、その起源は昭和中期の地域再興運動にまで遡ります。第1回の開催は1966年(昭和41年)。高度経済成長期の只中、大型スーパーの台頭や交通体系の変化に直面した目黒銀座商店街の若手商店主たちが、「地域住民との絆を深め、商店街に活気を取り戻したい」という熱意から企画したのが始まりでした。
当初は小規模な盆踊り大会としてスタートしたものの、より一体感と熱気をもたらす伝統芸能として「阿波おどり」が導入されました。徳島県の有名連からの指導を仰ぎつつ、地元有志による連が結成され、年を追うごとにその規模を拡大させていきました。
さらに時代の変遷とともに、2000年代以降の「よさこい」ブームを柔軟に取り入れ、土曜日は伝統の阿波おどり、日曜日は創造性あふれるよさこいという二段構えのプログラムが確立されました。中目黒が「下町の風情が残る商店街」から「トレンドの発信基地」へと変貌を遂げていく過程で、古くからの住民と新しく移り住んだ若者層、そして街を愛するクリエイターたちが交差する結節点として機能し続けてきたのです。
半世紀を超える歴史は、単なる恒例行事の反復ではなく、常に時代のニーズを取り入れながら地域コミュニティの求心力を保ち続けた商人たちの挑戦の歴史でもあります。