いま東京をはじめとする都市部のパフェ専門店では、予約サイトの受付開始からわずか数分で週末の席が埋まる現象が珍しくありません。かつてのパフェといえば、市販のアイスクリームにコーンフレーク、ホイップクリームと缶詰のフルーツを合わせた手軽なおやつというイメージが一般的でした。しかし現在、専門店のグラスの中で起きているのは一流パティシエによる味覚の建築です。
取材班が都内の人気パティスリーを取材した際、シェフは次のように語っていました。「パフェはグラスという限られた空間に、温度、食感、酸味、苦味、香りの時間差変化をすべて計算して封じ込める、最も難易度の高いデザート表現です」。実際にグラスを構成するパーツは、ソルベ、ジュレ、クランブル、クレーム、ハーブのエスプーマなど1杯につき15〜25種類にも及びます。スプーンを進めるごとに味わいのグラデーションが移り変わり、最後の一口まで計算し尽くされた構成が、訪れる人を魅了してやみません。
さらに、旬の高級フルーツパフェ専門店では、市場に出回らない特級品の産直果実が惜しみなく使われます。糖度や熟度を完璧に見極めた契約農家の果物を主役に据え、その個性を最大限に引き出すために糖分やスパイスの配合をミリ単位で調整する姿勢こそが、「高くても通いたい」「この季節のこの一杯を逃せない」という強い熱狂を生み出しています。