2019年晩夏。原宿駅前の商業施設「原宿jing」の前に、若者たちの果てしない列ができていた。目当ては、タピオカをテーマにした前代未聞のイベントだ。前売りチケットは飛ぶように売れ、開場前から異様な熱気が渦巻いていた。
入場料は1200円。決して安くはない。期待に胸を膨らませてゲートをくぐった来場者を待っていたのは、しかし、あまりにシュールな光景だった。
薄暗い仮設空間に並ぶプラスチック製の遊具。黄色や茶色のボールが浮かぶ小さなプール。手作り感という言葉では片付けられない簡素なブース。看板商品のタピオカミルクティーを求めて並ぶ人々の表情から、次第に笑顔が消えていった。期間限定のポップアップストアとはいえ、事前に謳われていた「体験型テーマパーク」の華やかさとは程遠い現実がそこにあった。