インターネット上の言説や音楽論評において、「2006年はCDが売れなくなった暗黒期の始まり」と単純化されるケースが散見されます。しかし、一次データと当時の利用動態を検証すると、これは明らかな誤認です。
確かにCDシングルのミリオンセラー数は1990年代後半に比べて激減しました。しかし、それは「音楽を聴かなくなった」のではなく、「消費の主戦場が着うた・着うたフルへと移行した」のが真相です。実際、2006年の『純恋歌』や『三日月』は、音楽配信市場においてCD換算で数百万枚規模に匹敵するダウンロード数を記録していました。
また、「2006年のヒット曲はテレビのゴリ押しだった」という声もありますが、これも事実の一面しか捉えていません。当時台頭したSNSの先駆けであるブログコミュニティや口コミサイトでは、一般ユーザー同士が「歌詞の共感度」を自発的に語り合い、それがカラオケランキングを押し上げるというボトムアップ型の拡散が起きていました。マスメディアの露出と、庶民のリアルな感情共有が奇跡的に合致していたのが2006年という時代です。