激痛や違和感があるとき、私たちはどのように行動するのが正解なのでしょうか。まずは、医療現場の知見から導き出された目に入ったまつ毛の正しい取り方の基本原則を押さえておく必要があります。原則は「触らず、流す」ことです。
最も安全かつ推奨される初期対応は、人工涙液と目薬の使い方を正しく実践することです。防腐剤(塩化ベンザルコニウム等)が無添加の人工涙液をたっぷりと点眼し、溢れ出る涙とともに異物を自然に洗い流します。このとき、点眼ボトルの先端がまつ毛や目に触れないよう十分注意してください。点眼後は目を強く閉じず、パチパチと優しく瞬きを数回繰り返すことで、結膜のヒダに隠れていたまつ毛が涙液に乗って下まぶたの縁や目頭へと移動してきます。
洗面器に清潔な水を張り、その中に顔をつけて水中でまばたきをする方法や、アイカップを用いた洗眼液による洗い流し方も有効です。ただし、洗眼カップのゴム縁や周辺の皮膚に付着したメイク汚れや雑菌を眼内に逆流させてしまうリスクがあるため、カップを使用する場合は目の周囲を完全にクレンジングしてから行わなければなりません。
一方で、絶対に避けるべきNG行動が綿棒やティッシュを使う危険性です。鏡を見ながらティッシュのこよりや綿棒の先で黒目の上のまつ毛を直接突いて取ろうとする人がいますが、乾いた繊維は硬く、角膜の表面を直接削り取る凶器となります。さらに、綿棒の繊維が千切れて目の中に残り、二次的な異物肉芽腫を形成する事例も報告されています。指で直接つまみ取ろうとする行為も爪で眼球を突く危険が高いため厳禁です。
また、昨今急増しているのがコンタクト装着時のまつ毛混入です。ソフトコンタクトレンズ装用中にまつ毛が入ると、レンズと角膜の間に挟まれるか、あるいはレンズ表面に張り付きます。この状態で目を擦ると、レンズが破損したり角膜を深くえぐったりする致命的な事故につながります。異物感を覚えたら、何よりもまず清潔に洗った手で直ちにコンタクトレンズを外し、レンズの表裏を専用洗浄液で念入りに濯いでください。レンズを外すだけで、まつ毛ごと除去できるケースも多々あります。