満98歳・数え99歳という超高齢期を迎えるにあたり、介護現場やご家族の間ではどのような課題や気づきが生まれているのでしょうか。厚生労働省の「簡易生命表」や介護現場のレポートを検証すると、90代後半の方とのコミュニケーションにおいては、身体介護と同等以上に「自尊感情の維持と心理的境界線(バウンダリー)」が重要視されています。
家族社会学の視点から見ると、昭和初期生まれの親世代と、昭和中期(団塊の世代など)に生まれた子世代の間には、家族観や介護に対する無言のプレッシャー(「親の面倒は子どもが最後まで見るべき」という規範)が存在しがちです。これが過度な干渉や「共依存」を生み、介護者側のバーンアウト(燃え尽き症候群)や感情的な衝突を招く要因となります。
訪問介護事業所のケアマネジャーは次のように指摘します。
「98歳・99歳というご年齢になると、ご自身でできることと支援が必要なことの線引きが日ごとに変化します。『やってあげる』という過保護な姿勢は時にご本人の生きる意欲を奪ってしまいます。家族間でも適度な心理的バウンダリーを保ち、外部のデイサービスやショートステイを当たり前に活用しながら、親の人生を尊重する伴走者としての距離感を維持することが、結果的に笑顔の多いお祝いの日を迎える秘訣です」
白寿という大偉業を祝う場でも、無理に大人数で外食をするのではなく、ご本人の慣れ親しんだ自宅や施設の一室で、短時間で感謝の気持ちを伝えるスタイルが支持を集めています。