ピーター・ルーガーの代名詞といえば、看板メニューである「ステーキ・フォー・ツー(Steak for Two)」をはじめとする名物Tボーンステーキの評判です。ブルックリン本店と全く同じクオリティを再現するため、アメリカ農務省(USDA)によって最高ランクの「プライム」に格付けされた牛肉のみをチルド状態で空輸。店舗敷地内に設けられた巨大な専用ドライエイジングサークルにて、温度1〜2度、湿度80%前後の厳密な管理下で約30日以上ドライエイジング(乾燥熟成)されています。
このドライエイジングビーフ(熟成肉)は、肉自体の酵素の働きによってタンパク質が旨味成分であるアミノ酸へと分解され、ナッツやチーズを思わせる芳醇な熟成香をまといます。調理法も極めて豪快かつ繊細です。厚みのある肉塊を特注のブロイラーに入れ、摂氏数百度の超高温で一気に焼き上げます。熱した陶器の専用大皿に溶かした澄ましバターとともにサーブされ、テーブルに運ばれた瞬間、パチパチという心地よい爆ぜる音と香ばしいバターの香りが周囲を満たします。
Tボーンの醍醐味は、中央の骨を挟んで「フィレ」と「サーロイン(ニューヨークストリップ)」の2つの部位を同時に食べ比べられる点にあります。外側はカリッとクリスピーに焼き固められ、内部は艶やかなルビー色を保ったミディアムレア。一口噛み締めると、余分な水分が抜けて凝縮された赤身の濃厚なコクが広がり、脂っぽさは皆無です。日本の霜降り牛のような「舌の上でとろける柔らかさ」とは一線を画す、野性味あふれる力強い弾力と噛むほどに溢れる肉汁こそが、130年以上にわたり世界を魅了し続ける理由です。