ジーンズ市場において、ヴィンテージデニムの風合いを再現する「セルビッジ(赤耳)」仕様のボトムスは、通常1本あたり1万5,000円〜3万円超の価格帯で取引されるのが業界の常識でした。その構造を根本から破壊したのが、ユニクロが展開する「セルビッジスリムフィットストレートジーンズ」をはじめとする赤耳デニムラインです。
中核を担うのは、広島県福山市に本拠を置く世界的デニム生地メーカーカイハラ株式会社との長年にわたる共同開発です。カイハラが保有する希少な旧式シャトル織機で織り上げられた生地は、低速で糸に余計なテンションをかけずに織るため、生地表面に独特の凹凸(スラブ感)と武骨な風合いが生まれます。裾をロールアップした際に見える「赤耳」のステッチは、まさにその伝統的製法の証拠です。
さらに、糸の芯を白く残したまま外側だけをインディゴで染め上げるロープ染色技術が採用されています。着用と洗濯を繰り返すことで表面のインディゴが削れ落ち、内側の白いコットンが露出することで、いわゆる「アタリ」「ヒゲ」「ハチノス」と呼ばれる美しいグラデーション(経年変化)が発生する構造です。素材と染色の観点において、ユニクロの赤耳デニムは高級デニムブランドと同等水準のポテンシャルを秘めています。