野生動物による惨劇は、古くから映画やノンフィクションの世界でも繰り返されるテーマだ。ヴェルナー・ヘルツォーク監督による傑作ドキュメンタリー『グリズリーマン』は、野生のクマと共存できると信じた男の壮絶な末路を描き、人々に自然の無慈悲さを突きつけた。また、アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督の映画『レヴェナント: 蘇えりし者』では、極寒の荒野で巨大ヒグマに噛み千切られながらも生き延びようとする男の執念が凄まじいリアルさで描写され、観客を震撼させた。
こうした作品群が示すのは、単なるディザスター・ホラーの演出ではない。自然界の頂点に立つ捕食者と遭遇した人間が抱く、本能的な恐怖そのものだ。ネイチャー・ドキュメンタリー産業が美しく雄大な自然を映し出す一方で、その裏に潜む容赦ない「死の現実」を、これらのフィクションや映像作品は過飾なく提示し続けている。