そもそも、なぜ子ども向けのキッズメニューにこれほど極悪な難易度の間違い探しが載っているのでしょうか。その理由を紐解くと、サイゼリヤというブランドが大切にしている外食体験のデザイン思想が浮かび上がってきます。
第1の理由は「料理提供までの待ち時間を家族のコミュニケーションに変えること」です。簡単に解けてしまうと、子どもはすぐに飽きてスマートフォンを触り始めたり、手持ち無沙汰になったりします。難易度を極限まで引き上げることで、「パパこれ見て!」「ママあっち探して!」と、テーブルを囲む全員が自然と会話を交わし、料理が運ばれてくるまでの数分から十数分があっという間に感じられるように設計されています。
第2の理由は「大人が本気で関与せざるを得ない仕掛け」にあります。子どもだましではない本格的な難問だからこそ、親もプライドをかけて問題に向き合います。世代を超えて共通の話題で盛り上がれるエンタメとして機能しているわけです。
第3の理由は「食の安全やこだわりを伝える食育メッセージ」です。イラストのテーマは常に、イタリア産オリーブオイルの収穫風景や、契約農家の野菜作り、自社工場でのモッツァレラチーズ製造など、サイゼリヤの食材へのこだわりがモチーフになっています。間違いを探す過程で細部まで凝視するため、結果として企業姿勢が自然と記憶に残る秀逸な広報戦略となっています。