なぜ、これほどまでに澄み切っているのか。その秘密は、関東屈指の清流として知られる那珂川水系の最上流部に位置する特異な地質にある。那須連山の火山灰層とブナの原生林が天然の巨大な濾過装置として機能し、湧き出たばかりのミネラル豊富な伏流水が、一切の濁りを許さず谷を駆け抜ける。
この極限の水環境は、生きた化石と呼ばれる国の特別天然記念物、オオサンショウウオの貴重なゆりかごでもある。水生昆虫が群れる岩陰には、太古から変わらぬ生態系が脈々と息づいている。冷涼な水流と豊かな森が交差するこの水域は、単なる景勝地ではなく、生物多様性の最前線でもあるのだ。