宿泊予約サイトを閲覧していると当たり前のように目にする「星3つ」「星5つ」のアイコンですが、ホテル格付けの理由と背景を掘り下げると、国境を越えた大きな制度格差が浮かび上がります。
フランスでは観光省の認可を受けた観光開発機構(アトゥ・フランス)が法律に基づいて厳格な審査を行い、客室面積やエレベーターの有無、フロントの営業時間などを点数化して1つ星から5つ星までを公式に認定しています。ドイツやスイスなど欧州主要国が加盟する「ホテルスターズ・ユニオン(Hotelstars Union)」でも、ホテル星の数の決め方には200項目以上に及ぶ共通基準が存在します。
対照的に、日本には旅館業法や観光庁による公的な「星評価(スターレーティング)」制度が一切敷かれていません。観光庁の担当部署への取材や公式資料の記述を確認しても、行政主導によるホテルや旅館のランク付けは行われておらず、各施設はあくまで民間の枠組みの中で評価されています。つまり、日本の宿泊施設が名乗る、あるいは検索エンジンや旅行会社が表示する星の数は、欧米のような国家認定ではなく、民間機関やOTA(オンライン旅行会社)が独自に集計・設定した指標に過ぎません。この事実こそが、多くの旅行者が抱く「三つ星ホテルの定義が曖昧に感じられる」根本原因です。