ウィルのキャラクターアークを語る上で欠かせないのが、親友マイク・ウィーラーへの秘めた恋心です。シーズン4の第8話、車内でウィルがマイクに見せた「4つの頭を持つドラゴンに立ち向かう仲間たちを描いた絵」は、シリーズ屈指の胸を締め付ける名名場面として語り継がれています。
ウィルは「これはエル(イレブン)が描かせたんだ。彼女には君が必要なんだよ、マイク」と言葉を重ねます。しかし、視聴者の誰もが気づいた通り、その言葉はすべてウィル自身の心の叫びの代弁に他なりませんでした。「人と違っていても、君がリーダーでいてくれるから怖くない」と涙を堪えながら微笑み、マイクが視線を外した瞬間に窓の外を向いて声を押し殺して泣く姿は、自らの想いを決して成就させてはならないと封じ込めた痛切な諦念の表れでした。
この描写について、ウィルを演じるノア・シュナップは2022年の米『Variety』誌の単独インタビューで明確に事実関係を認めています。
「シーズン4で、ウィルがゲイであり、マイクを愛していることは100%明確になりました。これまでは成長の遅れやトラウマのせいなのか曖昧に描かれていましたが、彼はずっと自分自身のアイデンティティと、親友への想いに苦しんできたのです」
さらに2023年1月、ノア自身がTikTokを通じて実生活でもゲイであることをカミングアウトし、「ウィルと僕が思っていた以上に似ていたと分かったとき、怖がるのをやめた」と綴った手記は、世界的な共感を呼びました。保守的な1980年代アメリカ中西部の田舎町という時代背景において、自らのセクシュアリティを告白することは社会的な死を意味しかねないリスクでした。ウィルが抱える切ない感情は、異世界の怪物以上に彼を内側から引き裂く過酷な試練だったと言えます。