時計の針を2013年に戻そう。テレビの報道番組で、安藤美姫が突然の出産を発表した瞬間、日本中が凍りついた。現役のトップアスリートでありながら、結婚を経ずに母になる。今でこそ多様な家族のあり方が認められつつあるが、当時の日本において、その選択は激しいバッシングの対象となった。
祝福の声と同じくらい、あるいはそれ以上に浴びせられたのは「無責任だ」「父親の名前を明かすべきだ」という容赦のない批判だった。スポーツ紙や週刊誌はこぞって彼女の私生活を暴こうとし、連日のようにセンセーショナルな見出しが躍った。それでも彼女は、氷上に立ち続けることを選んだ。