時計の針を1985年に戻そう。当時の北海道で、誰も見たことのない革新的なメニューが誕生した。舞台となったのは、名門「札幌グランドホテル」内に新設されたビアホール「ビッグジョグ」である。この店のオープンに合わせ、「サラダ感覚で手軽に味わえるラーメンを作れないか」と頭を巡らせた人物こそ、当時の総料理長を務めていた小林武氏だった。
ラーメンといえば熱々のスープをすするもの、あるいは夏の風物詩である冷やし中華という固定観念が根強かった時代。小林氏は西洋料理のドレッシング技術と、北海道が誇る力強いちぢれ麺を大胆に融合させた。運営母体である株式会社グランビスタ ホテル&リゾートの歴史にも燦然と輝くこの試みは、瞬く間にホテルの名物となり、日本の冷製麺料理における一大転換点となったのである。