日常的に利用する検索エンジン、ソーシャルメディア、動画配信サービス。これらのプラットフォームを提供するGAFAMに代表される巨大IT企業は、無料かつ便利なサービスと引き換えに、利用者の行動データを絶え間なく吸い上げている。米国の社会学者ショシャナ・ズボフが提唱した「監視資本主義」という概念は、もはや絵空事ではない。人間の体験そのものが行動データという原料へと変換され、未来の挙動を予測・操作するための商材として売買される構造が定着した。
この歪んだ構造の恐ろしさを世界に突きつけたのが、Netflixで配信され大きな話題を呼んだドキュメンタリー映画『グレート・ハック: SNS個人情報流出の闇』だ。選挙コンサルティング会社が数千万人のSNSデータを不正に取得し、有権者の心理的弱点を突いたターゲット広告で政治的意思決定を操作していた実態が暴かれた。クリックひとつ、いいねひとつが、個人のプライバシーを切り売りし、民主主義そのものを揺るがす兵器へと転用されるリスク。この衝撃は、デジタル空間に潜む闇の深さを残酷なまでに浮き彫りにした。