ネット上のQ&AサイトやSNSでは、「市比賣神社は女性専用の神社だから、男性が行くと罰が当たる」「男が足を踏み入れると冷たい視線を浴びる」といった根拠のない噂が時に囁かれます。しかし、現地取材と社務所への確認を通して得られた事実は、そうした言説を完全に否定するものです。
前述の通り、市比賣神社の歴史の原点は平安京官営市場の守護神であり、昭和2年に誕生した京都中央卸売市場の分社をはじめ、今日に至るまで日本全国の商業関係者、卸売業者、個人事業主から「商売繁盛」「取引安全」の神として崇められています。境内を定点観測すると、スーツ姿の男性経営者が真剣な面持ちで参拝する姿や、自社の社運を祈願する商業関係者の姿が日常的に見受けられます。
さらに、厄除祈祷においても男性の存在は極めて自然に受け入れられています。本殿で行われる「女人厄除祈祷」では、厄年を迎えた妻や娘、パートナーに同伴する男性の姿が多く見られます。また、「遠方に住んでいて直接参拝できない母や娘のために、父や息子が代理で厄除けのお札を受けに来る」というケースも日常的な光景です。神職の証言でも、「男性の参拝を拒絶するような方針は一切ございません。市場の神としての商売繁盛祈願はもちろん、大切な女性の安寧を願う男性の祈りも等しく神前へお届けしております」と明確に語られています。
「女性の神様だから男性を拒絶する」という短絡的な思い込みを捨て、生命を生み育む女神たちへ敬意を払い、自身の生業や家族の無事を真摯に祈念する姿勢こそが、同社における本来の参拝のあり方です。