実は、宮川が一流のキャスト陣の中に足を踏み入れることになったきっかけは、半ば偶然のようなオーディションだった。数百人に及ぶ応募者の中から、森田芳光監督の目に留まったのは、彼の「飾らない素朴さ」と「どこか掴みどころのない目」だったという。
周囲がプロの劇団子役や子役事務所のホープたちで固められる中、宮川の自然体すぎる立ち振る舞いが、監督の求めていた現代家族のリアリティと完璧に合致した。オーディション会場で提示された奇妙な演技指導にも物おじせず、独自のニュアンスで打ち返した度胸が、一瞬で運命を手繰り寄せたのだ。
現役高校生としての日常を送りながら、放課後に映画の撮影現場へ通う二重生活。テスト勉強とセリフの暗記に追われる過酷な日々の中でも、彼はカメラの前で唯一無二の存在感を発揮し続けた。