宝塚音楽学校を優秀な成績で卒業し、1987年に宝塚歌劇団の門をたたいた天海祐希。初舞台を踏んだ直後から、その並外れたスタイルと豊かなオーラは異彩を放っていた。下級生時代から新人公演の主演を次々と射止め、宝塚ファンの視線を一身に集めたのは有名だ。
当時の男役といえば、長年の下積みと濃密な芸の継承を経て重厚感を醸し出すのが伝統的な歩みだった。しかし、彼女はその常識を鮮やかに打ち破る。研7(入団7年目)という異例の若さで月組トップスターに就任したニュースは、劇団内外に大きな衝撃を与えた。型にはまらないナチュラルな芝居と洗練された佇まいは、伝統ある舞台演劇の世界に新しい風を吹き込んだのである。