『おちょやん』の序盤から中盤にかけて、鶴亀撮影所編のキーマンとして登場したのが助監督の小暮真治だ。若葉竜也が息を吹き込んだ小暮は、映画監督になる夢を追いながらも、家柄や現実の厳しい壁に苦悩する青年だった。彼がヒロイン・千代に注ぐ眼差しは、どこまでも優しく、そしてどこか哀しい。
特に視聴者の間で語り草となっているのが、求婚と別れが交錯するあの名シーンだ。「俺、活動写真の監督になる」という誓いとともに見せた凛とした表情と、すれ違う運命を受け入れる静かな涙。派手なアクションや大げさな身振りを一切削ぎ落とし、目線の動きや呼吸の間合いだけで感情の揺れを表現した若葉の芝居は、記憶に残る名演として今も称賛されている。