赤ちゃんの骨が大人になる過程でもっとも劇的な形態変化を遂げる部位が、頭蓋骨と背骨(脊柱)です。
生まれたばかりの赤ちゃんの頭蓋骨は、1枚のヘルメットのような構造にはなっていません。前頭骨、頭頂骨、後頭骨などが複数のパーツに分かれており、それらの境界には「泉門(せんもん)」と呼ばれる骨の隙間が存在します。特に額の上部にある菱形の「大泉門」や後頭部の「小泉門」は、骨ではなく強靭な結合組織膜で覆われているだけです。出産時にはこれらの骨同士が一時的に重なり合う「応形機能」によって頭囲を縮め、母体の産道を無傷で通過します。大泉門は生後1歳半から2歳頃にかけて軟骨が硬骨化して完全に閉じ、20代以降にかけて縫合線が硬く噛み合っていきます。
背骨の数と構造にも同様の融合現象が見られます。大人の脊柱は頸椎7個・胸椎12個・腰椎5個・仙骨1個・尾骨1個の計26個で構成されていますが、新生児の仙骨は5個の「仙椎」、尾骨は3〜5個の「尾椎」として分離しています。青年期から成人期を迎えるにつれて、仙椎は一枚の強靭な仙骨へと癒合し、上半身の重量を骨盤へ伝える強固な土台へと完成します。首から腰にかけてゆるやかなS字状カーブを描くこの26個のブロック構造は、直立した際の脳への振動を和らげる高性能なサスペンションとして機能しています。
骨の役割と機能は、単に身体の枠組みを維持する「支持作用」や、筋肉と連携した「運動作用」、脳や心臓を守る「保護作用」にとどまりません。内部の赤色骨髄において1日に数千億個もの血球を産生する造血機能や、体内のカルシウムの約99%を蓄えるミネラル貯蔵機能も担っています。骨は静的なカルシウムの塊ではなく、絶えず代謝を続ける生きた臓器です。