では、一般ユーザーがプロの取引価格を知る手立ては完全に閉ざされているのでしょうか。結論から言えば、業者専用システムそのものへ直接無条件でログインすることは不可能です。しかし、間接的にリアルな落札相場を把握するルートは存在します。
国内の中古車流通を牛耳る二大プラットフォームといえば、圧倒的な出品台数を誇る「USS(アイベック)」と、全国の業者が在庫共有や落札に用いる「オートサーバー(ASNET)」です。これらのシステムは、古物商許可証を持ち、かつ常設の展示場や事業実態の審査を通過した法人・個人事業主しか会員になれません。オートサーバー落札価格や過去の成約履歴は、業界関係者にとって飯の種そのものであり、アカウントの又貸しは厳罰に処されるほど厳密に管理されています。
そのような閉鎖的環境下において、一般人が相場に迫る現実的なアプローチは主に3つ存在します。
第一に、個人向けにサービスを展開している「オークション代行業者」が提供する閲覧ツールの利用です。一部の代行業者は、見込み客獲得のために過去数ヶ月分の中古車オークション相場表を自社ウェブサイト上で簡易検索できるシステムを解放しています。落札されたグレード、年式、走行距離、評価点ごとの平均価格が閲覧可能となっており、最も精度の高い実売データに触れられます。
第二に、大手買取チェーンや一括査定サイトが蓄積している「過去の買取・下取り相場データベース」を逆算する方法です。買取業者が提示する上限額は、直近のUSSオークション落札相場から自社の利益と経費を差し引いた金額とほぼ同義です。したがって、買取相場の上限値に10万〜15万円を加算すれば、おおよそのオークション落札相場が浮かび上がってきます。
第三に、現車確認のために足を運んだ中古車販売店で、商談時に営業担当者のパソコン画面をさりげなく確認する手法です。熱心な購入意思を示す顧客に対し、信頼構築のために「うちの仕入れ値はこれです」と画面上の成約履歴を見せてくれるケースは現場で珍しくありません。ただし、ネットの怪しい情報商材で謳われるような「一般人でもUSSのアカウントが取れる裏ワザ」といった話は100%詐欺であるため、警戒を怠ってはなりません。