少林山達磨寺が創建されたのは、元禄10年(1697年)のことです。水戸徳川家2代当主・徳川光圀公の開基協力のもと、中国の僧・心越禅師(しんえつぜんじ)を迎えて開山されました。寺院が属する黄檗宗は、臨済宗・曹洞宗と並ぶ日本三禅宗の一つであり、明代中国の禅風や建築様式、儀礼を色濃く残している点が大きな特徴です。
この寺院が「縁起だるま発祥の地」となった契機は、天明3年(1783年)の浅間山大噴火とそれに続く「天明の大飢饉」でした。飢餓と疫病に苦しむ農民たちの惨状を目の当たりにした第9世・東嶽和尚(とうがくおしょう)は、心越禅師が描いた「一筆達磨坐禅像」を原型とする木型を彫り、農民に張り子の「だるま」を作らせました。これを正月の縁日で販売させたところ、副業として農家の生活を支える救済策となり、やがて厄除け・福招きの縁起物として関東一円に広がっていったのです。
少林山達磨寺で授与されるだるまの造形には、徹底した吉祥の思想が込められています。「眉は鶴、髭は亀」を表す特有の顔立ちは、日本の伝統的な長寿の象徴です。倒れても自力で起き上がる「七転八起」の精神と、達磨大師の不屈の座禅哲学が融合したパワースポットとして、家内安全・商売繁盛・大願成就を願う参拝者が後を絶ちません。