『ロングバケーション』を語る上で欠かせないのが、マンションのベランダや最終回のストリートで交わされた印象的なキスシーンです。特に第6話のラスト、堤防沿いでのキスシーンや日常の延長にあるスキンシップには、台本に指定されていないアドリブが数多く含まれていたことが後の制作スタッフの証言で明らかになっています。
木村拓哉自身、後年のバラエティ番組やトーク番組において、当時を振り返り「撮影中は本当に山口智子さんのことが好きだった」と公言して大きな話題を呼びました。瀬名秀俊という役柄に深く入り込む過程で、相手役の山口智子が放つ人間的魅力、飾らない明るさ、役者としての器の大きさに強い憧れと好意を抱いていたことは紛れもない事実です。
しかし、当時の現場関係者やドラマ打ち上げに参加したスタッフの証言を検証すると、そこには極めて清々しい一線が引かれていました。山口智子は1995年12月に俳優の唐沢寿明と結婚した直後であり、木村拓哉もその事実を深く尊重していました。撮影中の「好き」という感情は、役柄への完全な同化と女優に対する純粋な敬意が昇華されたものであり、だからこそ画面越しに純度の高い輝きとして視聴者の胸を打ったと言えます。