科学界の最高峰とされるネイチャー誌への幾多の論文掲載は、彼の類稀なる研究能力の証拠だった。しかし、まさにその学術的権威と注目度の高さゆえに、STAP騒動におけるメディアの熱量は異常な域に達した。特にNHKスペシャルをはじめとするドキュメンタリーやスクープ報道は、世論に決定的な影響を与えた。
科学的検証が完結する前にテレビカメラが追い詰め、プライベートや組織の内実まで暴き立てる手法は、研究現場に未曽有の混乱をもたらした。学術的な異議申し立てと、メディアによる社会的処罰。この2つが交錯した結果、最高峰の科学者が命を失うという取り返しのつかない悲劇が生み出された。科学報道はどうあるべきかという重い課題を、この出来事は今も提示し続けている。