順風満帆に見える家族の背景には、かつて日本中を騒がせた過酷な離婚劇がありました。1995年、真田広之が映画『写楽』で共演した女優・葉月里緒奈との不倫密会が週刊誌にスクープされ、芸能界に激震が走ります。「恋愛の対象に妻がいるかどうかの違い」といったスキャンダル報道が連日ワイドショーを席巻し、夫妻は別居生活へ突入。そして1997年、正式に離婚が成立しました。
世間一般の破局劇であれば、母親が父親の過ちを糾弾し、子供たちから父親の存在を遠ざけても不思議ではない過酷な状況でした。しかし、手塚理美が選んだ道は全く逆でした。手塚は自著や回想録、テレビのインタビューにおいて、子育てにおける鉄則をこう語っています。
「夫婦としては終わったけれど、子供たちにとっては一生にひとりしかいない父親。だから絶対に子供の前で父親の悪口は言わない。『パパは世界一かっこいい仕事をしている素晴らしい人なんだよ』と伝え続けた」
手塚理美は、真田広之の出演映画が公開されるたびに息子たちを連れて劇場へ足を運び、父親の雄姿をスクリーン越しに見せ続けました。毎年訪れる息子の誕生日や真田の誕生日には、離婚後も手塚がセッティング役を買って出て、定期的な家族会を欠かさなかったといいます。
スキャンダルという泥沼を経験しながらも、子供たちの自己肯定感を傷つけないために元夫の尊厳を守り抜いた手塚理美の覚悟こそが、現在の息子たちの屈託のない成長を支えた最大の要因です。