端午の節句を彩る行事食として真っ先に思い浮かぶのが「柏餅(かしわもち)」と「ちまき」です。この2つには、地域差とともに深い縁起の意味が存在します。
関東地方を中心に親しまれている柏餅に使われる柏の葉は、春に新芽が出るまで古い葉が落ちないという独特の生態を持っています。この姿から「親が子を見届けるまで途絶えない」「跡継ぎが絶えない」という子孫繁栄・家系継続の象徴として尊ばれ、江戸時代に江戸の町で定着しました。
対して、関西地方以西で根強い人気を誇るちまきは、古代中国の悲劇の詩人・屈原(くつげん)を供養するために笹の葉で米を包んで川に投げ入れた故事が由来です。笹の葉には殺菌力と魔除けの力があるとされ、災難を逃れ無病息災で過ごせるようにとの祈りが込められています。
節句を祝う祝い膳には、出世魚として知られるブリやスズキ、竹のようにまっすぐ健やかに伸びるタケノコ、勝負運や長寿を願うエビなど、縁起の良い食材をふんだんに取り入れるのが古くからの習わしです。