居酒屋のメニューに並ぶ「地鶏」という文字。しかし、そのすべてが厳格な血統と飼育条件を満たした本物であるとは限らない。農林水産省が定める「地鶏JAS規格」は極めて厳しい。在来種由来の血液百分率が50%以上であること、ふ化日から75日以上飼育されていること、そして1平方メートルあたり10羽以下の平飼いであることなどが義務付けられている。
この難関を軽々とクリアし、宮崎が誇るトップブランドとして君臨するのが「みやざき地頭鶏(じとっこ)」だ。江戸時代に島津藩の地頭職へ献上されていた在来種をルーツに持ち、宮崎県が長い歳月をかけて交配・改良を重ねた。一般的なブロイラーが約50日で出荷されるのに対し、みやざき地頭鶏は雄で約120日、雌で約150日という気の遠くなるような時間をかけて丁寧に育てられる。
みやざき地頭鶏普及促進協議会の厳しい品質管理のもと、出荷される肉は適度な弾力と芳醇なアミノ酸を蓄える。名古屋コーチンや比内地鶏のような引き締まった歯ごたえとは異なり、噛んだ瞬間にジュワッと溢れ出すジューシーな脂の甘みと、驚くほど柔らかくほどける肉質。この唯一無二のテクスチャーこそが、他県ブランドとの決定的な一線を画している。