かつて全日本女子プロレスが黄金期を迎えていた時代、リングはまさに戦場だった。その中心にいたのが、圧倒的なヒールとして君臨したダンプ松本と、空前の女子プロレスブームを巻き起こした長与千種である。二人の抗争は単なる興行の枠を完全に踏み越えていた。
髪切りマッチをはじめとする伝説の試合において、降伏を迫る惨劇のシーンは今なお語り継がれる。凄惨な技の応酬の中で、自らの肉体を限界まで追い込み、それでも意地でも首を縦に振らない二人の凄気。観客は恐怖と興奮が入り混じった叫び声をあげ、マットに血と汗が染み込んでいった。あの時代の過酷なリングが生み出した敗北の決断には、昭和の女子プロレス特有の凄まじい覚悟が宿っていた。