宗教社会学と歴史心理学から見出すべき本質
なぜ日本人は、人間だけでなく八百万の神々にまで「正一位」という序列を付与し、それに熱狂したのでしょうか。宗教社会学および心理学の視座から分析すると、ここには「不可視の権威を可視化し、安心を獲得する認知メカニズム」が働いています。
古代から中世の朝廷は、軍事力や経済力で武士団に劣後していく過程で、「官位や神階を認可する唯一の権能」を最後まで手放しませんでした。武力を持たない朝廷が自らの存在価値を維持するため、神仏や権力者にブランド(序列)を授与し、その見返りとして支配の正統性を認めさせるという巧みな共生関係を築いたのです。また庶民にとっても、「正一位」という目に見えるお墨付きがあることで、日々の不安(飢饉、疫病、商売の浮沈)を託す神仏への絶対的な信頼感を補強することができました。現代で言えば、公的機関の認証マークやミシュランの星表示を見て安心する消費者の心理構造と極めて同質です。
歴史探訪・神社巡りにおける判断基準
この歴史的構造を理解した上で、現代の読者が社寺史跡や日本の伝統文化に向き合うための判断基準を提示します。